倫理的にやってはいけないデザイン
やってはいけない、というか危険なデザインの例。
表面化されにくい「よくないデザイン」
いいデザインは人々の生活に浸透します。
しかし、よくないデザイン、とりわけ「倫理的にやってはいけない事例」というものはあまり紹介されていません。デザイン系のニュースサイトや経験談、炎上&撤収騒ぎで表面化することが多い。ちなみにここでいう「倫理的」とは「守るべき秩序、モラル」の意です。
現代はSNS等の普及で誰もが手軽に世界に制作物を発表できる環境にありますが、そういう秩序を守ってないというか、単純に知識不足のために悲惨なことになってしまうこともあります。デザインが直接人間に危害を加えることは少ないですが、めぐりめぐって様々な事件や事故が起こる可能性もあります。
知らなかったではすまされないので、メモがてら、後世のためにも、倫理的にやってはいけないデザインを紹介します。
(web、印刷、建築、デザインのジャンルごちゃまぜです&随時更新するかも)
絶対避ける
避けなきゃ犯罪になる系
- 著作権/商標権/特許の侵害:普通に犯罪。
例:漫画村事件、マリカー訴訟、Appleカバーフロー裁判など。 - R指定表現の取り扱い:映像観覧やコンピュータゲームの年齢制限。
- 建築基準法、食品衛生法などの法律:守らなければ利用者の命にかかわることもある。
例:明治神宮外苑での建築学生オブジェ火災事件、デザインフェスタ vol.58 マフィン食中毒騒動
できれば避ける
一部の文化圏などで強い反感をかう系。犯罪ではないが規制の対象になる場合も。
- 赤十字マーク:赤十字軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を保護するためのマークで、紛争地域で攻撃を加えてはならないと国際法や国内法で厳格に定められている。 http://www.jrc.or.jp/about/mark/
例:椎名林檎グッズデザイン改訂騒動 ←ヘルプマーク酷似も同時に問題に。 - アンブッシュ・マーケティング:別名、待ち伏せマーケティング。非スポンサーの広告主が公式スポンサーの広告主との差を競うために商標などを用いず広報活動をすること。大規模なスポーツイベント(最近の例だと○リンピック)などの公式スポンサーではない企業が「五輪マーク」「ロゴ」「名称」などの知的財産を使うことは制限されている。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
- 赤文字:酒鬼薔薇聖斗事件を彷彿とさせる場合がある。
- 旭日旗:旧日本軍を連想させるので韓国等では侵略の象徴として受け取られてしまう。
- 四ツ:差別表現。四つ足 → 動物 → 畜生、人間以下の意味。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E3%81%A4_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%A1%A8%E7%8F%BE) - 菊紋:皇族の家紋。また一部の文化圏で肛門の意になる
- 逆卍・ハーケンクロイツ(ナチスのマーク) :ドイツでは公共の場で使うことが禁止されている。日本ではお寺のマークに似ているが、浅草寺仲見世通りでは外国人観光客がよく来訪するため配慮して鎹山印に変更されている。寺の地図記号は変更騒ぎが会ったけど結局卍のまま。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1508/25/news046.html
- 侮辱的なジェスチャー:中指をたてる、右腕を斜め上に突き出す(ナチス式敬礼)
- グッドサイン、オッケーサイン、フィグサイン:手のジェスチャーで国や文化圏によっては下品な意味になる。
- 首切り串刺し:写真・広告表現ではNG
- 言語選択での国旗アイコン:言語と国家は必ずしも結びつかない。また、国旗の色や比率が各国明確な指定があったりするので、背くと侮辱になる場合も。国旗を使う場合は、国家(地域)を表現する場合でどうしても必要な時にしたほうが無難。
- 公的な媒体での特定の人種や行動を蔑視した表現
例:三重県HPの不気味な外国人労働者イラスト、国分寺市長選挙討論会ポスターの女性グラビア - 五芒星、六芒星などの宗教的な象徴:特定の宗教や人種の差別ととらえられることもある
例:六芒星を描いたweb漫画非公開騒動
おわりに
時代や文化圏によって良し悪しの判断が変わるので、社会情勢に長けていることもデザイナースキルの1つではないでしょうか。頑張って良かれと思って作った制作物が、知識不足のために誰かを傷つけたり裁判沙汰になることは避けたいものです。
ただ、様々な制限を考慮したら何も作れなくなるじゃないか!という声も同感です。一応、制作物が検閲にかかっても、日本国憲法には「表現の自由」が保障されています。敢えてタブーを逆手にとった表現というのもなくはないですが、社会情勢やリスクとリターンを鑑みるなど、自己責任でお願いします。
※2023年11月 加筆訂正
参考文献
- デザイナーの責任と、デザイン倫理 | ひらくデザイン | 株式会社コンセント
https://www.concentinc.jp/design_research/2019/05/iac2019/ - 建物に著作権はある? 写真の撮影許可は必要? トラブルになるポイントを解説 | 『クリエイターのための権利の本』(全6回) | https://webtan.impress.co.jp/e/2019/02/27/31766